ソロハイク用の装備もおおかた揃い、いよいよ夏山へ向かう!……はずが、それを断念するに至るまでのお話し。今回は前篇です。
これまで何度かご紹介してきたように、「国内3,000m峰全登頂」という中期目標に向けて、今年は「ソロハイク挑戦」という短期目標を立てました。
そして、それに向けて、着々と装備品の購入を進めてきました。
5月には丹沢で足慣らしをしたものの、
「これ買った」「あれ買った」という記事ばっかりで、一向に山行記を書くことができていない……
それには理由があります。
実は、山に行けてないのです。
サラリーマンが山に行くためには
そもそもサラリーマンである私が山に行くためには、越えねばならぬハードルがいくつかあります。
仕事
私が勤めているのは、休みも取れないような会社……というわけではありません。
が、一つの業務を大勢で担当しているわけではないため、私のような下っ端であっても同僚に仕事を預けて休暇をとるというのは、気が引けるのが現実です。
そもそも流行りのフリーアドレスというやつで業務上の電話は直で携帯にかかってくるので、お遍路中も歩きながら取引先と電話……ということがありました。
家庭
理解のある優しい妻なので、現時点では山に行って怒られるということはないですが……
ゆーるく家事分担をしているので、週末家庭をほったらかしにして一人で出かけるというのは心苦しいものがあります。
天候
当然ですが、行くからには、いいコンディションのときに行きたいものです。
特に私の場合、山頂を踏むほかに、写真撮影という目的もあります。しかし、上2つの条件とコンディションを揃えるのがなかなか難しい……。
費用
登山には本当にお金がかかります。
装備はもちろんですが、交通費も馬鹿になりません。
登山用に予算を確保していましたが、装備を揃えるので精一杯で、交通費のことはすっかり忘れていました。
実は……2019年の山予算はもうほとんど残っていません。
交通手段
マイカーを所持していない私にとってはかなり大きな問題です。
電車&路線バスだと、登山口に着く時間が遅くなってしまうし、レンタカーだと費用がかさむし、深夜発の登山バスは早目に予約しなければならない上に悪天候で山行を中止した場合にキャンセル料がかかるリスクがあります。
あと個人的なことをいうと、私はゴールド免許であるものの運転するのは年1回くらいなので、長時間の高速道路と山道の運転には不安があります……。
それでも計画を立てて……
とはいえ、長引く梅雨がようやく終わり、なんとか休みを確保した私は、(本来であればもう一度くらい日帰りで足慣らしをしたいところでしたが)勇んで夏山の計画を立てることにしました。
行き先候補
国内3,000m峰の制覇という目標を考えると、候補は以下の3つです。
- 大キレット(槍・穂縦走)
- 聖岳
- 塩見岳
塩見岳に決定
今回、休みを取ることにしたのは木・金曜日の2日間。
日曜日は予備日&装備のメンテナンス&家の諸々に充てることを考えると、日程は木~土曜日の2泊3日ということで、塩見岳に向かうことにしました。
長野県側の鳥倉登山口から登り、三伏峠にテントを張って、塩見岳を往復する計画です。
このルートは1泊で計画する方もいるようですが、2日目のコースタイムが12時間近くになるのでやめました。
前述のとおり予算はオーバーしてますが……気がつかなかったことにしました。
準備
待ちに待った夏山ということで、これまで購入した新戦力たちをザックに詰め込み、食料も買い込み、パッキングを始めました。
しかし断念
予兆は出発1週間ほど前からありました。
天気予報を見つめて
1週前から天気予報をモニタしてました。
やっと梅雨が明けたものの、やや不安定で流動的な様子……。
ただ、当初微妙だった天気も当日が近づくにつれ段々と良化。
でも、夕立&雷の可能性が高そうなことだけが気がかりでした。
運転に対する不安
鳥倉登山口までのアクセスは下記が候補となります。
①高速バス+路線バス
②登山バス+タクシー
③車(レンタカー)
④車(カーシェアリング)
②登山バス+タクシー
③車(レンタカー)
④車(カーシェアリング)
①②だと今一つ利便性が良くなく、③だと店舗のオープンを待っていると出発が遅れてしまいます。
そのため、④カーシェアリングを使用するつもりでした。
しかし、ペーパードライバーの私にとって、都内から大体4~5時間かかる道のりは相当不安。正直、実際の登山よりこちらの方が怖いくらいでした。
3,000m峰という目標に向けて、塩見岳に狙いを定めたものの、この部分に関しては「公共交通機関でアクセスできるところの方がいいのでは?」「まずは運転の練習をした方がいいのでは?」という迷いが生じていたのも確かです。
出発前日になって……
とはいえ、「そんなこと言ってたら、いつまでも行けない」と、予定どおりに山に向かうつもりでいた出発前日の水曜日。
昼過ぎになって、事件は起こりました。
それは、取引先からの1本の電話。
急遽、週末にかけて調整が必要な案件が舞い込んだ瞬間でした。
それでも、山へ行こうと思えば行けたとは思います。
ただ、私は諦めてしまいました。
「山に行くから」といって周囲に仕事を任せるのも(その程度、会社も同僚も全く問題にしないとわかりつつ)したくありませんでしたし、なによりせっかくの3,000mの地でメールやら電話やらを気にかけることになるのを想像して、げんなりしてしまったのです。
でも本当は天気だとか、運転に対する不安が潜在的にあって自分でブレーキをかけてしまったような気がします。
いろいろ買って、計画立てて、準備して、結局行かないなんて……後悔なのか、喪失なのか、呆れなのかわからない感情を抱きながら、週末を過ごすことになりました。
ただ、タイトルの「山から逃げた」というのは実はこのことだけではなかったのでした……。
続きは、後篇で。